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インタビューコラム「ミャンマー・PUNKの現在」前編:THE REBEL RIOTとの出会い 高崎英樹

ーードキュ・アッタンでは、ピョーダナー監督による『ファシスト選挙』『レイケイコー・パリ』など、力強い音楽と組み合わせた映像であるミュージックビデオを紹介しています。そうした音楽とのつながりから、クーデターが起きた現在も、ミャンマーのパンクバンドTHE REBEL RIOT(ザ・レベルライオット)と共に活動しているBRONZE FIST RECORDS(ブロンズフィストレコーズ)の高崎英樹さんに、インタビューコラム「ミャンマー・PUNKの現在」を寄せてもらいました。


ミャンマーPUNK・THE REBEL RIOT(ザ・レベルライオット)


 PUNK専門のインディーズレーベル・BRONZE FIST RECORDS(ブロンズフィストレコーズ)を始めて10年ほど経過した2000年代半ば頃、日本のバンド達から刺激を受けることが以前に比べて少なくなって来た矢先、音楽系SNS・Myspaceで出会う東南アジアのPUNKバンドのサウンドにより興味を抱き、片っ端からコンタクトを取るようになっていた。

 そんな中で知り合ったミャンマーのPUNKバンド・THE REBEL RIOT(ザ・レベルライオット)のKyaw Kyaw(チョーチョー)から「遊びにおいでよ! 歓迎するよ」と言われ2011年春、タイ経由でミャンマーへ渡航し彼ら主催のPUNKバンドのイベントで私のドラムで彼らと2曲演奏したり直接、交流を深める事が出来た。





 その後はしばらく連絡は取り合いつつ会う機会に恵まれていなかったが2020年2月、当時の私が住んでいたタイ北部のチェンマイに彼らがライブしに来た際に9年振りに再会する事が出来た。





クーデターのなかで音楽に出来ること


 2021年2月1日、ミャンマーでは国軍によるクーデターが発生した。THE REBEL RIOTはすぐに街へ出て危険を顧みずにPV撮影を開始し、そのわずか数日後にPV『ONE DAY』を発表した。



Photo by KaungKaung

 それまでの音楽性とは異なり、シリアスな中にも力強いポジティブさを感じさせる曲調・歌詞の内容に衝撃を受けた。




私たちの意識が目覚めた時

世界に存在する偏見が消え去るだろう

残虐な圧政が存在しない日を手に入れるため

力を合わせて変えるんだ

(翻訳:Takeshi Evolstak)


「ミャンマーの仲間たちのために私が出来る事は何か」と考え、この『ONE DAY』を2021年6月にミャンマーでアナログ7インチレコードとしてリリースした。




 そして同時にTHE REBEL RIOTを中心としたミャンマーPUNKSたちが2014年から行っている社会活動・Food Not Bombs Myanmarへのドネーション(寄付)のためのTシャツ・ステッカー・ピンバッジなどを制作した。

 さらに彼らが軍や警察の目をかいくぐってレコーディングを重ね制作した渾身の12曲入りアルバム『ONE DAY』にボーナストラック2曲を追加し2021年12月に日本盤CDとして発売した。




 ボーナストラックの内、一曲は第2次世界大戦中のイタリア反ファシスト党運動において歌われた「Bella Ciao(さらば恋人よ)」のカバーだ。




 朝日新聞夕刊全国版一面やTBS「報道特集」、NHK「おはよう日本」などで取り上げられた事もあり好セールスを記録した。2022年秋にはFood Not Bombs Myanmarへのドネーションを主目的とした、アジアの女性ボーカルのハードコアバンドが全て新曲で参加したオムニバスCD『WOMEN AT THE FRONT』を発売した。




 一枚の販売価格の20%を同じくミャンマーのためのドネーションに充当した。




 同オムニバスに参加してくれた東京のEIEFITS(アイフィッツ)と京都のANANAS(アナナス)、そして当レーベルにて単独作品をリリースした大阪・堺のTHE LADSBEAT(ザ・ラッズビート)、三重のCONFRONT(コンフロント)、岐阜のSEXPOT UGLY FACE(セックスポット・アグリーフェイス)、大阪のTRA(トラ)、さらに日本中の多くの人たちから自発的に寄付の申し出があった。

 軍事政権下にありながらミャンマーPUNKSたちは現在も貧困地域での食料・日用品の配布や街中での毎週の炊き出しを途切れさせる事なく継続しており、全世界のPUNKSがこれらの活動の支援を行っている。



Photo by Let's Take

Photo by KaungKaung


オムニバスアルバム『WOMEN AT THE FRONT』での出会い


 話は前後するが2022年秋リリースのオムニバス『WOMEN AT THE FRONT』を製作の際、THE REBEL RIOTにも他の収録バンドと同じく「女性ボーカルメインで、出来れば他のバンドと同じく新曲で参加してくれる?」と依頼していた。

 〆切り数週間前に「進行具合はどう?」と確認の連絡をしたらKyaw Kyaw曰く「ドラムが急に抜けたから無理になってしまったよ…」との事だったので「既発表曲の再録で構わないから絶対に参加して! ドラムだけオレが叩いてデータをそっちへ送るから何とか頼む…」と懇願したら「分かった! 何とかやってみるよ」とKyaw Kyaw。 

 その日から毎日二時間、連日にわたって指定された二曲のドラムを練習し四ツ橋LMスタジオでドラム録音を行い、データとしてミャンマーへ無事に送信。

 待ってくれていたTHE REBEL RIOTはすぐにギターとベースの録音に取り掛かった。

 前述のPV『ONE DAY』の時にKyaw Kyawとデュアルボーカルで歌っていたHnin(ニン)は既に隣国のタイへ脱出しており「果たしてミャンマーで新しい女性ボーカルはすぐに見つかるのか」と心配ではあったのだが「オレたちの『REBELコミュニティー』に最近、入って来てバンドの経験がないけどやる気満々の若い女性がいるので、彼女たち二人に歌ってもらったよ!」との事で無事『WOMEN AT THE FRONT』に参加してもらう事が出来た。




 2023年8月、Kyaw Kyawより「Hideki! ヤンゴンにようやく新しいハードコアバンドが出来たよ」との連絡があった。『WOMEN AT THE FRONT』でのTHE REBEL RIOTの録音でボーカルを務めたMay Oo(メイオー)とThwe Thwe(ツェツェ)の人が在籍しているDEATH BY SYSTEMSと言うバンドだそう。Thwe Thweはベースを務めているそう。



BURN!――ウーマン・パンク


 PVのアドレスが送られて来た。




 以下、このPVの説明欄から引用する。


同性であれ異性であれ、同意なしにセックスを強要されることはレイプです。

私たちが日々直面しているうんざりするような不公正の中で、性的暴力についてもオープンに語るべきです。

ほとんどの女性が性的虐待を受けたことを口にしないのは、自分たちがずっと植え付けられてきた家父長制のせいで、口に出したら人から責められるのではないかと恐れているからです。

ASEAN諸国では、この種の暴力を経験した人はたいてい嫌悪感を抱かれ、社会は非協力的で「彼女はどんな服を着ていたんだ?」「彼女が暴力を受けたのは当然だ」といった精神的にダメージを与える発言や行動をします。

「彼女が着ていたものは露出が多かったから、レイプされても不思議ではない」。このように、社会はレイプ被害者に自己嫌悪と憎悪を植え付ける傾向があります。

私たち女性は、もうこんな風に黙っていてはいけません。

あなたが感じている痛みを知っているのですから、そのような問題を経験したことがあるのなら、勇気を出してそれを表現してください。

恥じるべきは、加害者やレイプ犯だけです。

ITS TIME FOR THE REVOLUTION!!

FUCK ALL THESE ABUSERS!



Photo by Let's Take

 Kyaw Kyawには「真剣なメッセージが強烈に伝わって来るのがすごく良い! でもサウンドはハードコアと言うよりもNU METAL(ニュー・メタル)寄りやね?」と返信すると「このバンドはこの曲だけ異色なんだ。他の曲はTHE REBEL RIOTと似た感じの80年代の影響が大きいハードコアだよ」。



Photo by Let's Take

 私がTHE REBEL RIOTに「女性ボーカルのハードコアのオムニバスを作るから絶対、女性ボーカルで参加して!」と無茶振りした事が結果的に二人のミャンマー女性の人生に影響を与えてしまったようである。


 THE REBEL RIOTはいくつかの日本のメディアでの露出もあり、ある程度の知名度はあるがDEATH BY SYSTEMSは知名度などもちろん皆無。そこでこちらドキュアッタンの場をお借りし、次回の後編にてDEATH BY SYSTEMSのインタビューをお届けする。


(高崎英樹)


 

高崎英樹(たかさき・ひでき)

1995年よりパンク/ハードコア専門のインディーズレーベル・BRONZE FIST RECORDS(ブロンズフィストレコーズ)主宰。2000年代半ばより東南アジア・南アジアのパンクシーンに目を向け、2011年春にミャンマーへ渡航して以来ミャンマーのパンクバンド・THE REBEL RIOTのチョーチョーとの交流が始まり現在に至る。




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